先日、友達と「最後に泣いたのはいつだ?」という話をしました。
歯医者で泣いたのが最後で、その話が結構馬鹿げていて思い返すと笑えるので、書こうと思います。
当時の日記から少し文章を引用しているので、テイストがいつもと違います。
目覚ましが鳴っている。 うるさい。
止める。スヌーズだ。
また鳴った。うるさい。
仕方ねえ起きるか・・・
うっ。
歯が痛い。
しかしまあ、我慢できないほどではない。
我慢することが大人なのか?
しかし今日は時間に余裕を持って起きた。早めにやってる歯医者に行こうかな。
ネットで調べると、8時からやっているところがあるらしい。
とりあえず支度をして、家を出る。予約をして、歯医者に到着する。
橋本「右上の歯が痛いんです・・・」
歯医者「右下がおかしいなあ・・・」
右上が痛いって言ってるだろ!結構痛いんだ。冗談言わないでくれ。
橋本「あのっ先生。」
橋本「すみません」
歯医者「虫歯が残ったまま詰め物をして、中で虫歯が進行してるみたいですね」
そんなことあるのか!前の歯医者に怒りが沸いてくる。
しかし色々いじられているので、痛みが増してきて突っ込む気力も起こらない。
歯医者「とりあえず応急処置しておきます、また夕方来てください、これは2か月くらいかかると思います。」
詰め物を外して、なんかガチャガチャやられてもう一度詰め物をされる。すごい。痛みが全くない。
何度もお礼を言って、歯医者を後にする。
そして一ヶ月後・・・
歯医者「歯の掃除が終わったので、今日から本格的に治療をはじめます」
橋本「よろしくお願いします。」何か、電子工作で使うコンデンサみたいなものを歯に刺される。痛い。
本当に痛い!
しかし我慢せねばならない。それが成人の義務ってものだ。
ときどき激しい痛みが走り、「ンァッ!」っとか、「ン゙ーーーー!」とか叫びながら我慢する。麻酔をされる。
歯医者「神経を殺す薬を入れました。麻酔が切れると少し痛むと思いますが、2時間程度で引きます。もしひどいようでしたら痛み止めを飲まれてください。」
橋本「わかりました。ありがとうございます。」
お礼を言って、歯医者を後にする。しかし麻酔が相当きつい。
口を閉じているつもりでも、鏡を見ると半開きだ。間抜けだ。
とりあえず、麻酔が効いた状態で家にいるのが退屈そうなので、ゲーセンで2時間ほどつぶしてから帰宅する。
まだ麻酔がきいているが、痛くは無い。
そして最寄駅について、歩いて帰る。
5分ほど歩いたその時。
痛い!
本当に痛い。少しどころじゃない。釘を思いっきり手のひらに打ったような痛みが奥歯に走る。
仕方ないので、とりあえずもらった痛み止めを飲む。
自販機で水を買って、痛み止めを飲み、顔を歪めたまま家に帰る。
家まで歩いて15分。
痛みが全く引かない。気が狂いそうだ。
もう一錠飲もう。
・・・
痛い!
だめだまったく痛みが引かない。痛みに耐えることができない。
床に横になって、のたうち回る22歳。
何かをしていないと意識を保っていられない。この痛みが永遠に続くかと思うと、気がおかしくなりそうだ。
部屋のドアを思いっきり殴る。板が割れる。
板の破片が手に思いっきり刺さる。
痛みと精神的なつらさと自分のバカさに泣く。「成人の義務」とか言っておいて、結局泣いた。
血が思いきり出るが、痛みを感じない。歯が痛すぎるのだ。もう仕方がない。
「3錠まで」と言われていた痛み止めを一気に5錠飲む。
胃が荒れるとか言われてるが、それどころではない。
そして、「あああああああああああああ」と叫びのたうちまわりながら15分が過ぎる。痛みがまったくおさまらない。限界だ。救急車を呼ぼう。
119をコールする。
橋本「あのすいません歯が痛くて気が狂いそうなんですが」
119「え~?知らないですよそんなこと朝まで待ってください」
もう!こっちは泣いてるのに!
仕方ない歯医者に電話しよう。
この時深夜12時30分。
大迷惑だが仕方ない。本当にすみませんでした。
橋本「こんばんは橋本です夕方から痛みが引かなくて気が狂いそうです朝まで耐えられません」
歯医者さん「痛み止めは・・・」橋本「全部飲みましたが全く聞き目がありません死にそうです助けてください」
歯医者さん「・・・・」
橋本「あああ・・・ああああ・・・」
歯医者さん「・・・今から来れますか?」
橋本「わかりました。」歯医者さん「近くに来たらまた電」
橋本「わかりました」
着の身着のまま走って表に出る。
タクシーを拾う。病院の名刺を渡す。
ちなみに歯医者までは電車で40分かかる。
橋本「ここまで頼む早くしてくれ金はいくらかかってもいい死にそうなんだ」
うずくまって、「あ゙~・・・・・」と低く唸りながら到着を待つ。失神できたら、狂ってしまえたらどんなに楽だろうか。涙が止まらない。
東京外環の明かりが見える。そんなことはどうでもいい。誰か助けてくれ。
時計の1秒が無限の時間に思える。涙でシャツが濡れている。
1時間以上かかって歯医者の近くに来る。
メーターを見る。17000円だ。
2万円を座席に置いて、黙ってタクシーを降りる。
すぐに走る。
なんと失礼だろう。すみませんでした。
そういえば歯医者に電話してない事に後から気付いたが、後の祭りだ。
すぐにドアを開ける。開いてる。良かった。
橋本「早くしてくれ気が狂いそうだ!早く!」
歯医者さん「落ち着いて、寝てください」
すぐに寝て、口を空ける。
歯医者さんは私服だった。ごめんなさい。
詰め物が外れる。
またコンデンサみたいなのを刺される。
歯医者「これでどうですか?」
余計酷くなった。
ダメだ本当に狂いそうだ。
自分で出来る事がないだけに、どうしていいかわからない。とんでもない絶望感と痛み。
そして・・・
橋本「先生、僕は死ぬんですか?」
何を言っているのか。
見返すと笑えてくる。
歯医者さんも、死なないよ(笑)といって爆笑していた。
その時は本当にそれくらい辛かったんです。許してください。
そしてまたガチャガチャやられる。
歯医者さん「これでどうですか」
橋本「ああ、だいぶ良くなりました、これなら我慢できます・・・」
橋本「先生夜中にすみませんでした、騒いでごめんなさい。ありがとうございます。助かりました。」
歯医者「神経を殺す薬を入れたんですが、思ったより神経が残っていたみたいですね。」
話がよく理解できない。
何度も礼を言って、歯医者を出る。一種の爽快感のようなものがある。
縁石に座って、涙を拭く。水を買ってうがいをする。
痛みは引いていた。
単なるバカな話なんですが、あのときは発狂しそうな痛みの中に、ある種の高揚と緊張があったのを、今でもはっきり覚えています。
もし自分がマゾヒストでなければ、痛みに耐え切れず死んでいたかもしれません。
つまらない思い出話でした。
みなさん、歯は大切にしましょう。それでは、また!
最近知り合いが歯医者さんになったので、当面そういうのとは無縁で生活できそうです。